塾カレ
<茉鈴 side>






「…茉鈴、大丈夫?」



「私…にも……だね」





「ん?」






「私にも…お父さん、いたんだね
何でいないんだろうって、ずっと思ってた
でもお母さんにそのこと聞いていいのかわからなくて…言えなかった。」






「私も言いたかった。
でも、あの時のように毎日つらそうにしてた茉鈴をもう一度見ることなんて私にはできなかった」





「そっか…そうだよね」




「ごめんね、言ってあげられなくて」







「ううん。
私のこと考えてくれてのことだったんでしょ?
ありがとう。私のことを考えてくれて。」






「音無」




ささくんに呼ばれ顔を向けるとティッシュを渡される





「ん…?」




「茉鈴、涙出てる」





ゆらの言葉で初めて自分が泣いていることに気づいた





「ありがとう」




そういいティッシュを受け取った。


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