カミヒトエ
┗壊れ始めた日常
―――キーンコーン…
正門をくぐった時、始業を告げるベルが鳴った。
『遅刻じゃんバカー!』
『うっせ、川ちゃん来る前に教室入れば良いんだって!!』
ダダダダッ!!!
時折ギシギシ言う廊下を猛ダッシュする私達。
川ちゃんこと川上 充(カワカミ ミツル)は担任の先生。
今年で三十路になるくせに、未だ20歳と言い続けている男。
ちなみに、この木造3階建ての学校には2クラスしかない。
教師4人と生徒が20人。
20人って言っても、小中高合わせた人数。
所々ガラスが割れてて、木が腐ってたり…。
ボロボロだけど、私はこの学校が好き。
皆仲良いし卒業しても都会に出るつもりは無い。
何て言うか幸せ。
『あ、あれ桜(サクラ)じゃねぇ?』
『え…あ!桜だ!』
廊下を走る私達の前方に、もう1人走る人が見える。
学生鞄を肩に背負い、活発的に見える茶髪のボブヘアー。
間違いない。
私の親友、末永 桜(スエナガ サクラ)だ。