カミヒトエ
授業も終わり、いつもなら待ち遠しい放課後が、今日は限り無く嫌だ。
――ミーンミンミン…
…う、川ちゃんの馬鹿。
この真夏に裏庭の掃除は半端無く暑いんだからね!
『ぅー…暑いよぅ…。』
バサッバサッ…
枝から落ちた葉をホウキで集める私。
『絶対桜のせいだって。』
ブツクサと文句を言いながら掃除をする諭。
『だってさぁ。川ちゃんもたまに遅刻する癖にさ!!』
『だからってアレは禁句だよ。』
私が言う禁句とは、勿論三十路発言。
『ぶー…。』
膨れっ面になる桜。
『二人共ー!あんま喋ると体力消耗するよー。』
私は止めどなく流れ落ちる汗を拭う。
バサバサ…
ミーンミンミン…
葉擦れの音と、蝉の鳴き声だけが響き渡った。