カミヒトエ

授業も終わり、いつもなら待ち遠しい放課後が、今日は限り無く嫌だ。


――ミーンミンミン…

…う、川ちゃんの馬鹿。

この真夏に裏庭の掃除は半端無く暑いんだからね!

『ぅー…暑いよぅ…。』

バサッバサッ…

枝から落ちた葉をホウキで集める私。

『絶対桜のせいだって。』
ブツクサと文句を言いながら掃除をする諭。

『だってさぁ。川ちゃんもたまに遅刻する癖にさ!!』

『だからってアレは禁句だよ。』

私が言う禁句とは、勿論三十路発言。


『ぶー…。』

膨れっ面になる桜。

『二人共ー!あんま喋ると体力消耗するよー。』

私は止めどなく流れ落ちる汗を拭う。

バサバサ…
ミーンミンミン…

葉擦れの音と、蝉の鳴き声だけが響き渡った。

< 15 / 20 >

この作品をシェア

pagetop