カミヒトエ
『暑いなぁ…。』
ぼそり呟いた。
――ミーンミンミ…
…ピタリ――
突然、蝉の鳴き声が止んだ。
『え…?』
さっきまで時折吹いていた風も、今は吹く気配すら無い。
『……ねぇ、諭…さく…ら?』
シィ…ン…
不思議に思い振り返ると、今まで傍に居た二人の姿が無い。
『…え、ちょっ!二人とも!フザケてんの?!』
辺りを見回すが姿は見えない。
大体からして、この裏庭は木しか無いんだ。
隠れる場所なんて無い。
突然消えた蝉の鳴き声。
突然消えた風。
突然消えた二人。
私は何故か、嫌な予感がした。