カミヒトエ
「〜♪〜〜♪〜♪〜…」
…歌?
「〜〜…♪〜…」
後ろから聞こえる。
それは歌声。
懐かしい唄声。
懐かしい?
何でかな、そう感じた。
「〜♪…よ……を…♪」
それは段々とはっきり聞こえる。
五・七・五…?
俳句の様な。
「…わ…♪〜〜贄〜……♪」
まだ幼い少女の唄声。
私は懐かしさからか、いつの間にか聴き入っていた。
「…もゆる…や…ま…」
何処かで、
聞いた事ある様な。
思い出せない。
そんな事を考えていて、気付かなかった。
少女の唄声はいつの間にか…、
「…〜♪〜恋し…♪」
私の真後ろから聞こえていた。
すぅっと息を吸う音がやけにはっきりと聞こえ、
吐いた息は私の耳にかかった。
――ゾクリ…
再び悪寒が走るも、遅い。
生温かい吐息と共に、少女は笑いながら最終章を唄う。
「――…カミヒトエ…」