カミヒトエ
動きたい。
逃げたい。
動けない。
逃げれない。
足が…動かない。
「くすくすくす…。」
耳元で少女は…笑っている。
――ぎゅっ!!
私は咄嗟に、固く目を瞑った。
カタカタ動く歯。
バクバクいう心臓。
でも動けない。
何だか分からない。
怖い。
ただその感情だけが私を支配していた。
―――ザァ…ッ!
突如、今まで止んでいた風が吹く。
ザァァァァ…!
徐々に強くなる風。
『―ッッ!!』
苦しい。
息も上手くできない程になった時、
風は私を包み込んだ。
少女の言葉と共に。
「今年ハ……誰に…スルの?」