カミヒトエ
第1章【夏の唄】
┣いつもの朝
それは突然始まった。
深く哀しき物語。
とある7月の話。
私、春日 七海(カスガ ナナミ)は高校2年の16歳。
黒髪セミロングの、ごく普通の女の子…だと思う。
私は緑が生い茂る田舎町で暮らしてる。
どれくらい田舎かって?
バスは3時間に一本。
電車は開通してないし、
見渡す限り目に写るモノは山と田んぼ。
――ミーンミンミン…
蝉の鳴く声も反響なんてしない。
今は朝。
学校まで自転車で1時間の道程を、せっせとペダルを踏み続ける。
『あーつーいーっ!!』
思わず一人言も出るっての。
横に転べば泥まみれの畦道を進んでいると、
少し先に人らしき影が見えた。
『あっ!!諭(サトシ)ぃ〜!』