カミヒトエ
『昨日帰りにパンクしちまってさぁ。七海!乗せてって♪』
ニカっと屈託無く笑う。
でも待てよ?
この時間に此処を歩いているという事は…。
こいつ、絶対私の事待ってたな…。
チャリに乗っていたとしても、まだ此処からじゃ40分はかかる。
歩きだったら遅刻だもん。
『良いけど♪諭が前ね!』
そう言って私は後ろに座った。
『さーんきゅ。てか待ち伏せバレバレですか?』
『バレバレです。』
ははっと笑い、諭はペダルを軽快に踏む。
『七海にゃ隠し事できねぇなぁ。』
『はっ。あんたの考えなんて丸分かりだっての。単・細・胞♪』
『んだと〜っ!』
グラグラと蛇行運転され私は振り落とされそうになる。
『っきゃ!危ないってば!』
『あ、まだいたか…ちぇー。』
諭は私をちら見して言った。
『ばぁか。』
軽く頭をこづいて私は体勢を立て直す。
――ミーンミンミン…