カミヒトエ
『なぁ、七海ぃ。』
『…何ぃ?きゃっ!』
キキィーッ!
とあるお寺の前で、諭はブレーキをかけた。
ゴンっ…私は諭の背中にぶつかる。
『な、何よいきなり!』
諭はチャリから降りてお寺へ向かっていく。
『遅刻するよっ!』
私も早足で追いかけた。
『七海知ってる?』
『え?』
どんどん奥に進む諭。
こんな田舎にしては…田舎だからかな?
凄く大きいお寺なんだ。
名前は…うーんと、何だっけ。
諭は長い階段の途中で振り返り、言った。
『この寺の噂。』