カミヒトエ

――ミーンミンミン…

少しだけ汗臭い…。

諭の香り。

頬が熱い。

――ミーンミンミン…

蝉の鳴き声がうるさい。

恥ずかしい。
でも、嬉しい。

様々な気持ちが複雑に絡み合う。

思考回路が麻痺する感覚。
私がそんな事を考えていると、

『……てく…よ…な…』

――ミーンミンミン…

『え?何…?聞こえな…い。』

蝉の声で、諭の消え入りそうな言葉は掻き消された。

『…何でもない。はは…。ごめん。』

馬鹿、バレバレだよ。
本当は笑ってなんか無い癖に。

泣いてるの…?

私の肩に…ずっと額を当てて俯いている。

その表情を伺い知る事はできない。

『……さと…し?』

――ミンミンミン………

ぎゅぅっと…私も抱き締め返した。
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