センパイのカノジョにしてください


少しずつ慣れてきて、周りの景色を見る余裕が出てきた。

毎日のように通ってた場所はバイクから見ると違って見える。

圭太センパイの間から前を見ると、もうガッコーの下まで来ていた。

「うわぁーーー!」

「きれいだなぁ」

「はいっ」

思わず声を上げた。
圭太センパイも感動してる。

ウチの中学は坂の下から正門まで両脇に桜の樹を植えている。

今はちょうど満開を越えたばかりで、樹にはまだまだ桜の勢いがあるし、床には散った桜がじゅうたんみたいに敷きつめてある。

バイクが通るたびにピンクのじゅうたんは舞い上がって、樹からも花びらがハラハラと舞い落ちてくる。

歩いてる時には見たことがない世界だった。


きれい。
だけど、こんなにきれいだと感じるのはきっと圭太センパイとふたりで見てるから。



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