センパイのカノジョにしてください
7.合格祝い
さっき通った桜並木。
やっぱりきれい。
今まで見たことのない景色。
来年も見たいな、圭太センパイとふたりで。
これからどこに行くんだろ?
まさか、これで解散?
それはイヤだな。
車通りの少ない裏道をずっと走る。
「自空(ジクウ)行くべ」
圭太センパイがきこえるように大きな声で言う。
やった!
「はいっっっ」
自遊空間(ジユウクウカン)略して自空。
アミューズメントパークで、ゲームセンター・カラオケ・ボーリング・ダーツ・ビリヤード・マンガ喫茶がある。
試合の帰り、よく打ち上げで利用した。
「圭太センパイのラップききた~い!」
「おう、まかせろ」
わぁ~い、圭太センパイのラップ。うれしいな!
圭太センパイはうたがすっごい上手。
特にラップはどんなにむずかしいものも歌いこなす。
「オレは神崎のアニメ声ききたーい」
「はーい!まかせてくださ~い!」
うたうとアニメ声だっていわれてから、今はその声に似合うようなうたばっかりうたうようになった。