恋してアイビー
これまでで、少しは察しがついていると思うが、私は非常に淡白だ。
世間に疎く、感情の起伏もそうない。
こんな遊園地などにも自分から向かうことのない、仕事だけをたんたんとこなす日々に満足している、そんな二十八歳女子。
丁度妹と真逆の性格だと言っていい。
こんなんだから友達もほとんどおらず、けれどそれに不満もなく、このままでいいと思いながら生活していた。
だがそれではいけないと、たまにこうやって私を外に連れ出してくれている妹は、本当に優しい子だと思う。
だが、性格とはなかなかに変え難いもので。
「ね、ママ!どこいってたの?」
私の足にぎゅうっと抱きつき、そう言ってくるこんな子供に対する耐性は生憎持ち合わせていなかった。
困惑しながらも、おそらくはただの人間違いだろうとあたりを付け、顔を確認させようと目線を合わせるためしゃがみ込む。
「あ、あのね、多分人違いだと…」
そう説明しながら、ガッツリ目を合わせる。
ああ、キョトンとしてる。
気づいたな、勘違いに。
そうひと安心しかけた私は、目の前の小さな少女の一層キラキラ輝く瞳にピシッ!と音を立てて固まった。
「ま、本物のママだぁ〜〜!!」
おまけにその少女はそう言って、小さな体でタックルばりに抱きついてくる。
(!!!!??)
おかげで私の脳内にはビックリマークが増える結果となったのだった。