君の声がきこえたら。

大丈夫だ。
14年、耐えてきたんだもの。


「遅れるだろう。早く乗りなさい。」

「はい。」


静かで重い空気が肌にまとわりつくようだ。

そしてタバコの臭いが充満した車に乗り
“隣”の市の中学校へ向かった。

私はこの窓越しに見える風景があまり好きになれない。

流れる風景の一部に
南中学校の生徒がうつる。
私も本当は、あそこに通うはずだった。


だけど、違うの。
私の通う中学校は私立聖門(せいと)中学校。名門校だ。

私が望んだわけではなく、気づいたらそうなっていた。
受験もしていないのに。

誰のせいか、予想はつくけど。
きっとお父さんだ。
何をしたのかは知らないけれど。
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