胸いっぱいGYU

オレは泣いた。

散々泣いた。

でも、それも今日で終わりだ。

もうこんな涙を流すことはない。


今日だけ・・・今日だけだから・・。


オレは涙を流しながら沙都をみつめて微笑んだ。

そして、そっと沙都に口づけをした。






久住家を出たオレは気を使ってずっと外で缶コーヒーを飲んでいた久住さんに一礼をした。

「ありがとうございました・・」

「・・本当にいいのか・・?」

「・・・はい。・・・オレは間違ったことをしてるのかもしれません。だけど、今のオレにはこうするしかないんで・・」

そう言い残しオレは早足で駅へと向かった。

沙都への想いを吹っ切るかのように風を切って進んだ。







すっかり空も暗くなって辺りはネオンの灯りがまばゆいくらい点灯している。

夕陽の光よりこっちのほうがオレには合ってるのかもな・・。

まるで夢でも見てたみたいだ。

夢の中の女の子に恋をしたみたいだ。

現実には決して手に入らない。



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