胸いっぱいGYU
お互いあれから数年経った。
オレたちはなにか変わったんだろうか・・。
「諒、沙都のことだけど・・」
久住さんが一息ついて口を開いた。
久々に沙都の名前を耳にしたオレは動揺が隠せない。
胸がドキドキする。
ヤバい・・。
手が震えてきた・・。
「あ・・はい・・」
思うようにしゃべれない・・。
なんだよ・・オレ、全然ダメじゃん・・。
「お前と別れてからのアイツは正直見てられなかったよ・・。身も心もボロボロだった。・・・お前と同じように・・」
胸に突き刺さる。
自分から別れを告げたのに毎日泣き暮れていた沙都を思うと駆け寄って抱きしめてやりたい衝動に駆られていた。
「俺はお前の苦しみも知ってるし別れを決めたお前の覚悟も知ってる。沙都の将来のために犠牲になってくれて感謝してる・・」
「いえ・・元はといえばオレと付き合ってさえいなければ沙都を悲しませずにすんだのに・・」
ホントにそうだ。
沙都はオレと付き合わなければ無駄に泣くことも、苦しい思いをすることもなかった。
だけど・・だけど、オレは・・。