胸いっぱいGYU
連れてこられたのは近所の堤防だった。

諒は高いコンクリートの堤防を軽々と越えた。

そして私を抱える。

「ちょっとの間じっとしててねー」

そう言った諒はさらに軽々と下に降りた。

降りたところには河が広がり、付近には青々と茂った草、小さな花がいっぱいだった。

私は諒に抱きかかえられながら周りを見渡した。


「すごく気持ちいい・・」

私はついそんな言葉を発していた。

西日が照らす少しまぶしい光と、夕方の心地いい風。

私は無性に駆け回りたくなり諒の身体から離れた。

そして草の中を懸命に走った。


「きゃーー!諒さーーんっ」

私は無意識に諒を呼んでいた。

諒は笑って私の方へ駆け寄ってきてくれる。

「ホラ、沙都ちゃん、こっちだよ」

諒の声に反応する。

「きゃーーっ、待ってーーっ」


最高にたのしい・・。

諒とのこんな時間。

いつか読んだ少女漫画みたい。

自分にもこんなことがおこるなんて・・。



・・・諒が・・すき・・。


きっと・・たぶん・・絶対、すき。


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