胸いっぱいGYU
「俺はお前が傷ついたのだって知ってるし、諒がお前のこと大事に思っていたことだって知ってる」
大事にって・・。
もう、笑っちゃうよ・・。
「いいよ、お兄・・そんな大昔の話・・」
私はクスリと笑って返した。
ふと正面を向くと雨にかすんで家が見えた。
思えば久しぶりだった・・。
お兄ちゃんと話をしながら二人で家に帰るのって・・。
なんか・・話の内容が内容だけにこっ恥ずかしい気もするけど・・。
チラッとお兄ちゃんの横顔を見た。
・・やっぱり居心地の悪そうな顔をしている・・。
そして私とお兄ちゃんは二人そろって雨に濡れ、気まずい顔をしながら玄関を開けた。