胸いっぱいGYU


そして諒とも裕紀とも会わない日が続いた。

とは言っても諒も裕紀も同じ学校にいるから顔を合わせることはあるけれど、プライベートでは一切接触を避けた。

約1年ほど付き合った裕紀とは自然消滅に近い感じになっている。

諒とはさすがに美術の授業があるから会わないわけにはいかないけれど・・。

・・・抱かれることはなくなった。

もしかすると諒は今でも私が望めばエッチするのかもしれない・・。

けれど、私にはなぜかそれができなかった。



私は美術室の窓から外を見る。

「お前らー、サボってないかーー?」

今日の1時間目、私は美術の授業を受けていた。

諒は美術準備室からこの美術室へ入り、生徒の様子をウロウロしながら見回っている。

私は黙々とスケッチをし続けていた。

諒は教師らしく生徒の一人一人に声をかけていっていた。


絵を描き出すと周りが見えなくなる私・・。


なのに・・諒の足音が近づくたびに心臓が早くなる。

一歩・・また一歩・・。

絵に全然集中できない・・。


「久住・・」

諒が私の後ろに来た。

ダメだ・・。

鼓動の早さが半端じゃない・・。

体中が熱い・・。


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