胸いっぱいGYU
「あ、私今からデートなの、それじゃ」

私は諒に関する会話を打ち切るためにワザとデートという言葉を使った。


そう・・昔は諒でも今は違うの・・。

ちゃんと彼氏だっている。

普通にみんなと同じ生活してる。


それでいいのよ。

今さら諒の顔なんて見たくなかった。


「あすかに先帰るって言っといて」

そう言って私はその場を去った。

息が切れるほど走った。

すこしでも諒から離れたかった。


これから顔を合わせずにずっといられるわけない。

どうしていいのかわからない。

頭が混乱する・・。


・・・諒・・。

久しぶりに見た貴方は数年前よりも大人っぽくなってて・・。

数年前とちっとも変わらない笑顔だった・・。


忘れようとした笑顔。

忘れられなかった笑顔。




その後、私は彼氏とデートした。

何気なく普通にいつも通り楽しかった。

不満も満足もすべて含めて・・。


それでも、それなりに楽しく、それなりに幸せ。


だけど、何か・・何かが崩れていく・・・。
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