胸いっぱいGYU
ど、どうしよう・・美術室・・?

いや、でもそこ以外は考えられない・・。

取りにいかなきゃ・・・。

・・でも・・行きづらい・・。















「はあ・・長い階段・・ふう・・」

何分かの葛藤の末、結局美術室まで携帯を取りにいくことにした。

ただでさえ4階の美術室に行くのに長い階段を越えないと行けないのに、それに加えて足取りも重いもんだから余計に疲れる。

正直、今諒に会うと自分自身困ってしまうのでできればいなければいい、と本気で思った。


美術室に近づくにつれ、自然と忍び足のように音を立てずに歩いている自分が間抜けに思えた。

そんな苦労をしながらようやく美術室の前までたどり着いた。


小さいけれど声が聞こえる。

ヤバいな・・誰かいる・・。


私は美術室のドアを少し開けて中の様子をうかがってみた。


一番前の窓際の席・・その机に腰掛けている諒と、その前の窓側の壁にもたれかかっているお兄ちゃんがいた。


「・・・・!!!」

私は反射的に身を隠した。

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