胸いっぱいGYU
小学生から告白されたのはさすがに初めてだ。

ものすごい赤い顔で・・うつむいている。

さっきまでこの辺一帯を走り回っていたのに・・今はまるで違う。

・・・しっかり女の子なんだなぁ・・。

彼女の中ではものすごい勇気のいることなんだろな・・その証拠に身体中が震えている。


どうしよう・・オレ、めちゃくちゃ動揺してる。

なんて言っていいのかわかんねーよ・・。

さすがに小学生と付き合うわけには・・。

だけど、できるだけ傷つけずに断らないと・・ってオレ、告白されてこんな気を使ったのも初めてだ・・。

「沙都ちゃん・・・」

赤い顔をしてうつむいていた彼女がふと顔を上げてまっすぐな目でオレをじっと見つめた。

その目は純粋で・・うっすら涙が溜まっていた。

緊張のしすぎで涙がでそうになったのを必死でこらえるため顔を上にあげた・・というのがよくわかる。

まさしく彼女の表情がそれを物語っていた。


「・・・・!!」


夕方の風が長い沙都ちゃんの髪をなびかせた。

風がやみ、また彼女を見る。


・・・なんだろ・・??

なんだかドキドキする・・。

彼女の緊張がうつったのか?



いや・・ちがう・・。

オレ自身がこの子を見てドキドキしてんだ・・。

目が・・離せない・・。


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