胸いっぱいGYU
この堤防は沙都がオレに告白をしてきた場所だった。
オレが沙都に一目惚れをした場所だった。
・・・二人の大切な場所・・。
「うわー、風が気持ちいいねー」
沙都が背伸びをしながら深呼吸をしている。
ホントにこの場所だけ時間がゆっくりと流れているかのようだ。
「よし、沙都この辺座ろうか」
オレは眺めが一望できる場所に移動した。
沙都もオレの横にちょこんと座ってカバンの中からノートを取り出した。
オレはいつもなぜだか持ち歩いている小さいスケッチブックと鉛筆を用意する。
そして二人で見たままの景色を描いていった。
オレは少し沙都から距離を取り風景と馴染んでいる彼女をモデルにして絵を描いていく。
真剣なまなざしでスケッチしていく沙都をオレがスケッチしていってる・・。
オレはしばらくスケッチブックに集中していた。
「・・・?」
なんだろ・・視線めちゃくちゃ感じるんだけど・・?
オレはそっと正面を向いた。
さっきまで真剣に風景をスケッチしていた沙都がなにか物言いたげにオレのことをじっと見ていた。