胸いっぱいGYU
「な、なに・・?沙都・・?」
沙都は何も言わずにオレの全身、頭から足の先までくまなく見回す。
「・・え・・?お前・・なにしてんの・・?」
オレは沙都の不審な様子に戸惑っていた。
「・・・」
なんだろ・・?
なんかこえー・・。オレなんかしたっけ・・??
さっきから何か言いたげではあるけど・・。
「どうしたんだ?沙都・・」
オレはそんな沙都に少し近づいた。
沙都は急に膝を抱えてうずくまってしまった。
「え!?沙都!?」
オレは沙都に手を触れようとした。
そのとき・・彼女の身体が震えていることに気付いた。
・・・もしかして・・泣いてる・・?
オレの触れようとしたその手は宙に浮いたまま止まってしまった。
「・・諒・・私ね・・高校生になりたいよ・・」
「え・・・?」
なんで・・急にそんなこと・・。
「諒と同じように制服着て、同じ教室で机並べてこうして絵を描きたいよ・・」
「沙都・・」
オレは後ろから沙都の身体を包み込むように抱きしめた。