胸いっぱいGYU

「な、なに・・?沙都・・?」

沙都は何も言わずにオレの全身、頭から足の先までくまなく見回す。

「・・え・・?お前・・なにしてんの・・?」

オレは沙都の不審な様子に戸惑っていた。

「・・・」

なんだろ・・?

なんかこえー・・。オレなんかしたっけ・・??

さっきから何か言いたげではあるけど・・。

「どうしたんだ?沙都・・」

オレはそんな沙都に少し近づいた。

沙都は急に膝を抱えてうずくまってしまった。

「え!?沙都!?」

オレは沙都に手を触れようとした。

そのとき・・彼女の身体が震えていることに気付いた。

・・・もしかして・・泣いてる・・?

オレの触れようとしたその手は宙に浮いたまま止まってしまった。


「・・諒・・私ね・・高校生になりたいよ・・」

「え・・・?」

なんで・・急にそんなこと・・。

「諒と同じように制服着て、同じ教室で机並べてこうして絵を描きたいよ・・」

「沙都・・」


オレは後ろから沙都の身体を包み込むように抱きしめた。






< 85 / 173 >

この作品をシェア

pagetop