胸いっぱいGYU
「・・オレも小学生に戻りたいよ・・」
「りょ・・諒・・!」
オレに抱きしめられた沙都はみるみるうちに硬直していった。
オレだって・・オレだって・・
「お前と同じ教室で、お前の横で、お前と一緒に同じ時間を過ごしたいよ・・」
沙都が泣くほどオレとの年の差に悩んでいるなんて・・思わなかった。
オレとのデートの時の姿は沙都の虚勢。
精いっぱい虚勢を張って自分を保っていたんだ・・。
「沙都、オレたちはこれから先も同じ教室で過ごすことはできない・・」
「・・わかってるよ・・?」
沙都は泣き声で返答する。
「だけど、オレはこれから先も沙都と一緒にいたい・・」
「わ、私も一緒にいたい!」
オレと沙都はお互いにしっかりと抱き合った。
沙都の小さな身体がオレの身体を包みこむ。
オレと沙都は今同じ学校に通うことはできない。
・・だけど・・
数年後・・立場は違えど同じ学校に通うことはできる。
オレ・・教師になるよ・・。
沙都に絵を教えるために・・沙都と・・絵を描くために・・。
沙都とオレ・・同じ学校に通うために・・。