胸いっぱいGYU
松浦諒、16歳の失恋
「・・諒・・随分久しぶりじゃないの・・」
「・・ああ・・」
この地区最大の規模を誇るホテルの最上階。
夜景が一望できる。
一体いくらすることやら・・このロイヤルスイートは・・。
そんな部屋にオレは呼び出しを受けた。
「何の用だ?香奈・・」
「なぁに?ごあいさつね・・こんなにも久しぶりの再会だっていうのに」
「・・・」
「だって諒ってば勝手に携帯かえちゃうから」
「だからって学校前で待ち伏せしてそのまま車で拉致か?」
オレは数ヶ月前・・つまり沙都と付き合い出してからいままで遊んだ女と切るために携帯を変えた。
それ以来新しい携帯には沙都以外の女の名前は登録していない。
・・ただ・・オレの目の前にいるこの女はちょっとワケありだった。
「ねぇ、諒・・なんだかこのヒール・・かかとが痛くって・・。・・ちょっと脱がしてくれる?」
オレは黙ってそれに従った。
「あ、それとグラスにワインも注いでね」
オレは部屋に備え付けられているワインセラーから彼女が気に入りそうな銘柄を選んでそれをワイングラスに注いだ。