胸いっぱいGYU
「・・いやだ・・何のマネ?」
オレはさらに頭を下げて床に額をつけた。
「香奈!・・頼む!やり直したいんだ・・。少しでも彼女にふさわしくありたいんだ・・お願いだ・・」
オレは香奈との関係をなんとしてでも絶ちたかった。
そんなオレの頭の中には沙都の笑顔があった。
この笑顔を・・ずっと見ていたいんだ・・。
「・・・言いたいことはそれだけ?」
「・・・・」
「大事な天使ちゃんのこれから先の未来なんて私の手で簡単にぶっ潰せるのよ・・?」
「・・・!?」
・・・沙都・・。
オレは・・
オレは・・
なんて無力なんだ・・。
「諒・・。あなたのすべきことはなんなのか・・わかってるわよね・・?」
香奈はそのセリフの後にテーブルに置いていたワインの瓶を掲げ、床に這いつくばっていたオレの頭めがけてひっくり返した。
ワインまみれのオレの頭の中には・・やっぱり沙都の笑顔しかなかった。