胸いっぱいGYU
オレが振り返ったとき・・見たのはその場に倒れ込んでいた沙都の姿だった。

必死で沙都の元まで駆け戻る。

沙都の小さくて柔らかい身体を抱きかかえ様子を見た。

「・・沙都・・・」

どうやら呼吸は正常にしているみたいだ・・。

少し気を失ったような感じ・・。


とりあえず大事に至らないだろうと判断したオレはそのまま沙都を抱きかかえ歩き出した。

静かに・・静かに・・ゆっくりと歩く・・。

オレに与えられた最後の時間。

もう、沙都とはこの歩きなれた道を歩くこともできない。


オレは気を失った沙都を抱きかかえながら楽しかった日々を思い巡らせ歩いていった。














沙都との時間を惜しむようにゆっくりと歩いてきたけどどうやらタイムリミットのようだ。

オレの目の前には久住家の門が見える。

インターフォンを鳴らすと久住さんが出てきてくれた。

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