胸いっぱいGYU
「・・どうしたんだ?沙都は・・」

オレに抱かれている沙都を見ながら久住さんが心配そうな顔をしている。

「・・すいません・・オレのせいです」

「諒・・とりあえず沙都を部屋まで運んでくれ」

「え・・!?でも・・」

このまま沙都を送り届けて立ち去ろうとしたオレは少し焦った。

「いいから・・」

久住さんはそう言ってオレを家の中へ招き入れた。



沙都の部屋に入って奥のベッドに沙都を寝かせた。

オレにはここにいる資格すらないっていうのに・・。

「久住さん・・すいません。沙都をこんな目に遭わせてしまって・・」

「・・・・」

とっくに察しがついているだろうけど、オレは今日沙都に会ってからの一部始終を久住さんに話した。

話してて、すごく・・切なくなった。


「このあと沙都が目覚めてからが心配ではあるけど、同時にオレはお前のことも心配でしかたがないよ、諒」

半泣きになってしまった。

オレ自身がそう思っているんだから・・オレ・・どうなってしまうんだろう・・。

この恋を失うなんて・・。

「いえ・・オレなら・・」

「『大丈夫』・・・ってツラはしてねぇけどな」

ズバリを言い当てられたオレは咄嗟に久住さんの方をみた。


「・・・じゃあオレなんか飲み物買ってくるから」

久住さんはそう言い残してオレと沙都を二人だけにして出て行った。


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