泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「で?
公園で何話してたんだよ?」
奈々はソファから立ち上がると、俺の前に来て言う。
「いや、アハハ……」
言いづらくて、俺はつい、奈々から目を逸らした。
「アハハじゃないでしょ!あんたは一体あたしらにどんだけ心配かければ気が済むわけ」
めぐは頬を真っ赤に膨らませて、テーブルに人数分のココアを置いた。
俺は返す言葉もなく、ココアを取る気にもなれなかった。
何もかも図星すぎた。
「……ごめん。ただ、今は待って欲しい。俺、まだお前らに全部話す勇気ない」
消え入りそうな小さな小さな声で、俺は言った。
本当に情けないと思う。
俺はずっと、母親から愛を貰うのに必死だった。
だからって、こんな惨めで何も手にできなかった自分の愚かさを、話すこともできないなんて。
本当に弱いな、俺って……。
10年一緒の奴にまだ信じて話すこともできないなんて、本当に情けない。