泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。



「……俺、ちょっと出るわ」



 俺はキッチンルームを逃げるように出ると、
ドアの鍵を外側から雑に閉めた。



「「「潤?」」」 「潤さん?」




 4人の驚いたような声を無視して、俺は直後、自分の部屋に続く階段を、思いっきり蹴った。



 ガン!なんて鈍い音が響いたのと同時に、両目から涙が溢れ出す。


「くっそ……」


 階段の一段目に座ると、片手でぐしゃっと髪を掴んで、俺は喚いた。


 ムカつく。



 胸糞悪い。





 なんで俺は、叶わない恋なんてしたのか。




 なんであいつは、10年も一緒の癖に全てを話してくれないのか。





 思い通りにならないこの心も、アイツも、本当にタチが悪い。

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