泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「はぁ。……やっぱり、ここにいた」
直後、真ん前から、呆れたようなめぐの声が聞こえた。
「めぐ?」
「あんた、あたしが実の妹なの忘れた?
予備の鍵くらい持ってるって」
めぐは鍵がくくりつけられたストラップをくるくると指で回して、得意げにいう。
「……忘れてない。めぐだったら、俺が何考えてるかわかってくれると思ったから」
自分で言って呆れた。
同情なんてして欲しくない。
叶わない恋をした俺は、アホとしか言い様がないんだ。
そんなの自分が一番よく分かってる。
それでも、俺が叶わない恋をしてることに一番に気づいたのは、恵美だから……。
お前なら、俺を助けてくれると思ったんだ。