泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「たまには妹を頼ってよ、お兄ちゃん」
直後、めぐが俺に自分の体を軽く倒れるように
預けて、両腕で俺を抱いた。
「恵美……」
不意に右目から、透明な雫が零れ落ちた。
頼ってか。
兄が妹を頼る。
それは、兄失格に等しい行為なのではないのか。
「潤は、何があってもあたしの自慢の兄なんだよ。あたしは何があっても、潤を奈々の次に愛しく思うから」
「ハハ」
力なく、俺は笑った。
奈々の次ね。
まぁ……それも悪くないか。
「……いつか、俺を一番に愛してくれる人を見つけてみせる。だから見つかるまで、ちゃんと励ませよな!」
涙でぼやけた視界の中で、俺は必死に、精一杯の作り笑いを浮かべて、空元気のような無駄に大きな声を上げた。
終わった。終わってしまった、俺の初恋。
それでも、叶わなかろうと一緒にいたいんだ。
俺はそうして、一生涯愛そうとした人への気持ちを
隠し続けて、笑って生きることを、心に誓った。