泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
ビルの裏口に設置されたエレベーターに、
俺を含む5人で乗った。
ここ使うのも久しぶりだなぁ……。
そんなことを考えながら、俺はガラス張りのエレベーターから見えるビルを見渡していた。
めぐと純恋にご飯を振舞って貰ってから、もう既に2時間が経っていた。
あの時あたりざわりもない話をしながら食事を済ませ、すぐにバイクで亜空にいこうって話が出たはいいものの、やっぱり俺は亜空の奴らに顔が合わせづらくて、バイクでそこに行く勇気すら中々出てこなくて、そんなことになっちゃったんだ。
自分が純恋を姫にするのを認めたのにな。
結局、俺は潤に引っ張られて来たも当然、
なんだけど、それでも、いいのだろうか。
たとえそんなんでも、例え一瞬でもここで生きることを願って、いいんだろうか……。
屋上に着くと、俺達はそこに、ちょうど橢円形になるような定位置で座った。
「……結局、純恋の話しかしないわけ?」
真ん前にいる頬杖をついためぐが、
つまんないのーとでも言いたげに言う。
「いや?
--亜空を暴走族にする」
常時吹いていた冬の冷たい風が鳴りやんだ
のを見計らって、俺はそう言った。
——分からないなら、確かめればいいんだ。
俺がここで生きていいのかどうかを。
そのためにも、俺は亜空を暴走族にする……。