泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
緑色に輝く、外向きにはねた髪。
つり上がった瞳に、
やんちゃそうな雰囲気を除かせる八重歯。
——一之瀬龍弥(イチノセリュウヤ)。
喧嘩の腕は、桜桃と同等かそれ以上。つまりは俺達4人のちょい下って訳だ。2週間幹部のいなかった亜空を、恐らく桜桃と一緒にまとめてくれていたであろう男だ。
「……俺達はこれから、虹蘭と名乗る。俺を総長、潤を副総長。ハッカーを奈々と恵美。そして各組織リーダーを、龍弥、桜桃!お前らにやってもらう。拒否権はない!!」
拒否権はないとか、こんなの二週間前は
絶対言えなかっただろうなぁ……。
「副総長、ね……」
潤は笑って言う。
「俺らがリーダーって……」
「嘘だ、絶対嘘だよコレ……」
龍弥と桜桃は顔に驚愕の色を浮かべ、信じられないとでも言いたげに、そう小声で喋っていた。
組織リーダー。何十人もいるこの集団を纏めるには、最低でも10個ほどのグループを作り、そこのリーダーを使って、確実に俺の命令を下っ端に行き届けなければならない。
そのリーダーの中で、最も偉いやつ。あるいは、総長副総長不在時のその代理。それが組織リーダーの役目だ。
ま、代理は既にやってくれてたらしいけどな。
「奈々と一緒ー!!」
突如、めぐの甲高い声が響いた。
「あぁ、そうだな。
俺も嬉しいよ、恵美」
それをきっかけに、奈々が腕を組まれて、またもやバカップルのイチャつく時間ができあがった。