泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。


《空我?》

「はい。亜月空我って、貴方の息子ですよね?

単刀直入に言います。彼を道具っていたのは、本心なんですか?」

 動揺していたのか、先生はすぐに答えを言いはしなかった。
  
 《どっ、どうして、貴方がそれを?》

 その声が震えていただけで、俺は空我が本当にこの人に道具だって言われたのがわかった。

 
「……先生、俺が一体何年病院通ってると思ってるんですか。先生以外の医者に聞けば、こんなこと簡単に暴けますよ。

 で? どうなんですか? 本心なんですか?」


 道具だと言われようと、あいつはお前に愛されるのを願ってたんだ。


 頼むから、本心じゃないと言ってくれ……。


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