泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。





「!」


 俺の言葉に、潤は驚いたように目を見開いた。



「……っ、奈々」



 しかし潤はその後、たがが外れてしまったかのように静かに涙を流した。



「……泣くなよ。 本当に毎回毎回、
お前は一人で抱え込みすぎなんだよ」




全く。



 泣きたいなら思い切り泣けばいいのに、あづを気にして声を無意識に押し殺すんだから、本当にしょうがないよな。




 ……兄基質のやつはこれだから困るんだよ。





「大丈夫だ。きっとあいつは、……お前のことも死ぬまで大切にしてくれるよ。だから好きになったんだろ? あづは絶対、お前を捨てたりなんかしねぇよ」



< 162 / 284 >

この作品をシェア

pagetop