泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
——そう。
大事にされないのは、俺だけでないと困る。
中1から一緒にいる俺はまだしも、小1からつきあってる潤のことさえも捨ててしまったら、最悪にもほどがある。
今朝、俺はあづが突然いなくなる夢を見てうなされ、あづに声をかけられるまで、恵美とろくに話もできなかった。どうかそれだけは、正夢になって欲しくない……。
大事にされないのは、俺だけでいい。
「……んだよ」
その時、隣から小さな呟きが聞こえた。
「捨てるってなんだよ! あづが俺らを捨てるっていうのか!なぁ、オイッ!!!」
次に響いたのは、
窓が割れるのではないかと疑って
しまうほど大きな親友の焦った声だった。
……もしかしたら、
心が壊れてるのは俺の方なのかもしれない。
“捨てる”なんて、絶対に口にすべきではないのに。
「……それはわからない。ただ、あづは……」
そこから先は、口に出せなかった。
「…………め、潤?
奈々?」