泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。


「壊れる?」

「ああ。あいつ、ただでさえ親のことがあんのに、それ俺らに話せなくてすごい自分のこと責めてるだろ。このまま自分のこと責め続けてたら、あいついつかボロボロになっちゃうんじゃないかって、そんな気がするんだ」


「奈々は凄いあづのこと考えてるんだね」
 
 俺の頭を撫でて、恵美は笑う。


「ちげぇ。俺はただ、あいつがすごい分かりやすいから、心配になるだけだよ。……俺も、あんくらい素直になれたらいいんだけどな。本当にあづは俺と大違いだよな」



 出てきたのは、不可能に等しい言葉だった。




潤も、あづも、それに純恋だって。そして、間違いなく恵美も。



みんなみんな、少なくとも俺の数十倍は素直だ。








きっと俺は、二度とそうはなれない。






俺が素直になれないのは、自殺が未遂に終わったあの日から決定事項なんだ。







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