泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。




「そんなこと言わないでよ」



 恵美は俺をさらに強い力で抱きしめ、言った。



「一緒に生きようよ、ね?」




 ——ムカついた。





いや、恵美にじゃなくて、自分に。






 愛しい人を二度と守れなくて、
むしろ傷つけることしか出来ない
クソッタレに。



「前医者に言われたんだよ、俺の足は次ひどい怪我をしたら、もう痛いだけでは済まないって。

下手したら二度と歩けなくなるって。
恵美はそんな奴と、生きる?

煙草も吸ってるし。……たぶん俺は、お前が生きる年月の半分も生きられない」





 一体どうして、愛しい君にこんなことを言わなきゃいけないのか。






 悔しかった。




悔しすぎた。






 そして心底、自分に呆れた。



生きると言ってほしいなんて思ってる、
自分自身に。



……酷い話だ。残り数ヶ月と決まっているのにのに、死ぬまで一緒にいて欲しいなんて。



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