泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「龍弥、怒んねーから入ってこいよ」
そして、そう乱暴に言い放った。
俺は無意識なのか意図的なのか、数ミリほど開いたドアから除く緑色の髪に怪訝そうな目を向けた。
「……すみません」
龍弥は近くにいるのがバレて驚いたのか、ビクッと効果音がしそうな勢いで髪を揺らした後、遠慮がちに部屋に入ってきた。
「ホント、良い雰囲気邪魔にしないで
欲しいわよねー」
恵美は片肘を曲げて、困ったように
頬杖をついて言う。
おいおい、茶化すな。
「べ、
別に好きで邪魔したわけじゃ……」
龍弥は目の前にいた俺から視線を逸らして、力のない声で反論した。
無論、呆れるほど説得力がない。
つーか、さっきの光景思い出したのか少し
顔赤いし。
「で?
あづが俺らを呼んでるって?」
「そ、そうっす!
恵美さん呼びに行くのに時間がかかりすぎ
だって、
潤さんと2人で呆れ顔してました!!」
俺が先を促すと、慌ててそう龍弥は言った。
「あー!!奈々絵呼びに来たこと忘れてたぁ!!パーティはっ!?」