泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「……強引だな」
「まーねっ!」
うわ、恵美感嘆符でもつきそうなくらい上機嫌。
「だって邪魔なんだもん……」
恵美は小声でそう言い、頬を膨らませた。
分かんないんだ。
こういう時、なんて言えばいいのかなんて。
頬を膨らませるあの行動が、どういう類のものかなんて。
「め、恵美……」
声が震えた。
俺には、
愛しい名前を只只呼ぶことしか出来ない。
いつもいつも、虹欄やあづ達の前では恵美の
言葉になんとか返せてる。でも正直言って、
返し方あれで合ってんのかよく分かんない。
1年の成果か、返し方ある程度間違わなくはなったけど。
それでも、時々わからなくなる。自分が感情表現下手な癖に、他人の感情が正確に読み取れるわけないから。