泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
機会。
「奈々!
もー、大丈夫っ!?」
走ってからすぐに恵美に追いつかれて、俺は腕を掴まれた。
「ケホっ」
微かに出た咳を、恵美は聞き逃さなかった。
「わー言わんこっちゃない!ゆっくり歩こ。ね?」
一体俺が誰のせいで走ったと思ってんだ
コイツは。
「……おまえがんなこと言うからだろ」
しまった。
ムシャクシャして
つい、本音が喉元からでかかった。
「えっ? それって……」
恵美は、俺の顔を確かめるように覗き込んだ。