泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「俺は勝手に信じて、それに縋っているのかもしれない。
恵美ならどんな俺も、受け入れてくれるって、そう信じてるのかも。もちろんあづ達もそうしてくれるって信じてるよ。でも、……やっぱ虹蘭の奴らぜんいんがいる前だと、不安になって出来なくなる」
恵美なら同情しない。
そんな不明瞭すぎる期待を、俺はあんたに抱き続けているかもしれない。
いや、抱いているんだ間違いなく。
「もう!そんなの、当たり前でしょ?」
そういって恵美は背伸びをして、
俺の赤髪を優しく撫でた。
「……っ」
それだけで、俺はまた泣きそうになった。
——そうだった。
こいつは、そういう奴だった。
そういう奴だから俺は、
こいつを――好きになったんだ。