泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。



「……なぁ、奈々絵。確かに、あの頃の記憶はお前からしたら忘れたくて仕方がなくて、ダサいとしか思えねぇモノなのかもしんねぇ。けど、俺は……いや、俺達は、そうは思わない。



 今、こうしてちゃんと話せてるお前を、誰よりもかっこいいと思う」






 開いた口が、塞がらなかった。





「そんな大嘘、……抜かすなよ」




 顔を俯かせ、拳を震わせて俺は呟く。




そんな見え見えの嘘、つかなくていい。






だって、自分がダサいことなんて、自殺未遂を
したあの日から、分かりきってんだから。




< 199 / 284 >

この作品をシェア

pagetop