泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
俺は差し出されたあづの手に、微かに触れた。
「契約成立、だなっ!!」
あづはその手を力いっぱいにつかんで、無邪気に笑った。
「なんだよ、契約って……」
つか、ちょっと痛い。
「奈々!
副総長、よろしくな?」
あづは、笑顔を絶やさずに言った。
……嫌だ。
「本気で、俺でいいと思ってんの……」
——良いわけない。
そんなの自分が一番良くわかってる。
けど…….。
俺はその手を振り払うことなんて、出来ない。
「だから、俺はお前が良いんだよ!!」
そう言われて、
何故か生きてていいんだよって
3年越しに、
やっと家族に
そう許されたような気がした。