泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。





 俺は差し出されたあづの手に、微かに触れた。






「契約成立、だなっ!!」






 あづはその手を力いっぱいにつかんで、無邪気に笑った。





「なんだよ、契約って……」




つか、ちょっと痛い。





「奈々!
副総長、よろしくな?」




あづは、笑顔を絶やさずに言った。



 ……嫌だ。




「本気で、俺でいいと思ってんの……」





 ——良いわけない。



そんなの自分が一番良くわかってる。



けど…….。



 俺はその手を振り払うことなんて、出来ない。




「だから、俺はお前が良いんだよ!!」




 そう言われて、





何故か生きてていいんだよって





3年越しに、




やっと家族に



そう許されたような気がした。


< 202 / 284 >

この作品をシェア

pagetop