泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「……っ!」
嬉しさと戸惑いが入り混じって、
俺は再び、顔を俯かせた。
——アホか。
俺が許されるなんて、
そんな都合の良い話が今更あるわけ……。
「ったく、奈々絵!!」
唐突にあづは掴んでいた腕を引っ張って、
俺をわざとつまづかせた。
そうやってあづはつまづいた
俺の背中に自分の腕を回して、
半ば強制的に俺を抱いた。
「ふ、ふぇ……」
その強引さが恵美や大好きだった姉さんに
そっくりで、泣かないでいるのは、
到底無理な話だった。
啜り泣くみたいに、蚊のようにちっさい声を出して、あづの背中にもう片方の腕を回して、俺はひたすら涙を流した。