泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
病院によくある横に長い椅子の中央に座って、顔を俯かせて、両手を握って祈った。
視線を微かにを左に向けると、
めぐが俺の隣で
口を抑えて静かに涙を流していた。
「空我」
母さんが治療室から出てきて、
座っていた俺の前へゆっくりと
歩み寄ってきた。
「母さん、奈々は……」
俺は俯かせていた顔を無理にでも
上げて、椅子から立ち上がった。
「無事よ。命に別状はないわ。
だだ、彼の足は……」
“もう治らない”
とでも言ってしまうのだろうか。
俺のせいで…………。