泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。
「んっ……」
突如、猫なで声のような可愛らしい声が部屋に響いた。
俺とめぐは慌てて、そして同時に
握っていた手を離して、立ち上がった。
俺は逃げるように一際大きな窓を開けて
ベランダの中に入り、空を見上げた。
「ふーっ」
ため息を付いて後ろに振り向くと、予想通り、
窓の先に眠そうな目を擦って、めぐと
楽しそうに会話をする純恋の様子が見えた。
果たして視線を感じとったのか否か、めぐが俺のいる方向へ顔を向けて、ベットに座っていた純恋が何かを拾ったと思ったら、立ち上がってこちらに歩み寄って来た。