泣き跡に一輪の花Ⅰ~Love or Friends~。



 俺はそういい、
ふざけ半分に潤の頬を引っ張った。





「潤ー、起きろ。
奈々んとこ行くぞ」






 が、こんなんで起きるわけがない。






不眠症なんてまぁ、奈々の場合親が死んだ
故で。潤の場合、たぶん俺の心配をしてでのことだ。





全く、
そこまでしなくていいっつうのに。







「お兄ちゃーん!!」





突如、めぐが朝から大声を上げて、潤をひたすら力任せに揺さぶった。








 つーか、お兄ちゃんって。







そんな声も言葉も、永らく聞いて
いなかった気がした。










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